つづき、

当時のSOHOオフィスと言えば、パーテーションで区切られた1、2畳程度のものが多かったのですが、中町ビルSEEDでは、壁でしっかりと区切りました。この中町ビルSEEDのターゲットは広島ローカルの小規模事業者です。

小規模事業者は、1〜5名くらいなので、ワンルームを借りていたりすることが多くありました。しかしながら、そういうオフィスはお客様からの信頼も得にくく、ワンルームを事務所用に貸してくれるところも少なかったです。いざ、テナントを探すと20坪以上で20万円、30万円みたいなテナントが多く、家賃を10万円以内で借りれるところなどありませんでした。そのありそうでなかったものを中町ビルSEEDでは提案しました。完成後、おかげさまで全区画は埋まり、満室となりました。またグッドデザイン賞までいただき、テレビにも取り上げられて、反響が多かった物件でした。

あれから約10年が経ち、その間、テナントの入れ替わりもありますが、小分けにしているため、オーナー様からすれば、1フロア1テナントの場合の家賃で100かゼロと違い、空きがあってもゼロにはならずリスクを分散して稼働しています。ここ5年くらいは、景気も上向、オフィスビル、ホテルへの建て替えラッシュが広島でも進んできましたが、コロナにより、急ブレーキがかかりました。リモートワークも浸透してきたので、オフィスのあり方、考え方も会社により大きく変わってきています。飲食店も通常の営業、回転数は期待できないので、現状の家賃では難しくなってくると思います。

今後、テナントは空きが増えてくることが予想されますが、この先、どのように解決していくのか、ハードだけでなくソフト面もリノベーションしていく必要性がありそうです。